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材料証明書は、届いた材料とつながって初めて使える

切断した丸棒や加工部品を、ミルシート・注文・加工記録でどう照合するか。

ステンレス丸棒から削り出したスペーサーSP-42が12個届いた、という仮例です。添付の材料証明書は溶鋼番号H7318、残材の表示はH7381。納品書には「ステンレス」としかありません。試験値に不自然な点がなくても、その材料が12個の部品になったとは、まだ確認できません。証明書を今回の納入品の根拠として使う前に、この食い違いを解く必要があります。

目次

  1. 試験値より先に、注文した内容を見る
  2. 溶鋼番号だけで、部品まで追えるわけではない
  3. 書類を並べると、どこが切れているか分かる
  4. 証明書の種類と、材料の仕様を分ける
  5. 材料の証明と、完成部品の検査には境目がある
  6. 追跡できる範囲も、見積の条件に入れる

試験値より先に、注文した内容を見る

本物の証明書でも、別の納入品のものなら今回の確認には使えません。まず注文書の明細に戻り、品番・図面改訂、材料規格と版、製品形状、供給状態、数量、合意した提出書類を読みます。そのうえで、引き当てた材料をどのメーカー書類が対象としているかを照合します。鋼種名が同じだけでは、納入品と書類が対応しているとは分かりません。

EN 10204は検査文書の種類を扱う規格であり、発注する材料規格の代わりではありません。すべての金属購入に3.1が必須とは扱わず、注文と適用要件に応じて、必要な文書を発注前に決めます。切断後に「証明書も付けて」と追加すると、元材と切断片を結び付ける記録が残っていない場合があります。[1]

溶鋼番号だけで、部品まで追えるわけではない

この仮例で溶鋼番号は、材料のもとになった一回の溶解を識別する番号です。これとは別に、製品番号、束番号、倉庫の管理番号を使うこともあります。各番号の意味を聞き、H7318とH7381が何を指すのかを確かめます。倉庫番号と溶鋼番号が違っていても、引当記録で対応できれば説明はつきます。「同じ材料です」という口頭回答だけでは対応を示せません。

切断材なら、元の丸棒の識別から切断片、加工ロットまでの記録を求めます。小さな完成部品の表面への刻印より、管理された容器や加工指示書との対応が適する場合もあるため、切断前に方法を合意します。残材を在庫に戻すときや、一つの加工指示に複数の溶鋼番号が入るときも、割当てを分けて残します。これは調達時の管理案であり、全製品に同じ刻印方法を要求する趣旨ではありません。

現物・証明書・引当記録の対応を見る
現物・証明書・引当記録の対応を見る123
  1. 1識別表示のある元丸棒・残材
  2. 2メーカーの材料証明書
  3. 3注文明細と切断・加工の引当記録

対応関係を示す模式図です。現物と証明書は材料の識別、現物と加工指示・注文は引当てと数量を照合します。線は実際の試験・加工完了を保証しません。

書類を並べると、どこが切れているか分かる

次の表は受入れ時の架空の照合例です。メーカー証明書の様式でも、試験値や合格基準の見本でもありません。注文はPO-240の明細10、加工指示J-62でSP-42を12個製作した設定です。書類が揃って見えても、現物の識別が欠けていることを示しています。

12個は確認中と分かる状態で保留し、入荷・引当て・切断の元記録を求めます。ラベルの誤記なら、責任を持つ供給者が元記録に基づいて管理された訂正を行える場合があります。買い手がメーカー証明書を書き換えたり、数字を合わせるためにラベルだけを変えたりはしません。つながりを示せない場合は、交換、追加評価、権限者による特別採用の扱いを決めてから払い出します。

SP-42の受入れ照合例(架空)
書類・確認箇所記載されていること判断・足りない対応
PO-240/明細10記載されていることSP-42を12個、図面改訂C、指定材料規格判断・足りない対応受入れの基準とし、正確な材料と供給状態を確認。
残材の写真/識別表示記載されていることH7381判断・足りない対応証明書のH7318と不一致。材料の対応が確認できるまで受入れを保留。
メーカー証明書/溶鋼番号記載されていることH7318判断・足りない対応全ページと、この書類が対象とする材料を照会。
加工指示J-62/切断引当て記載されていること12個。元丸棒との引当ては未記載判断・足りない対応元材→切断片→加工指示の記録を求める。数量だけでは溶鋼番号は分からない。
完成検査・工程記録記載されていることJ-62との対応が未確認判断・足りない対応合意した寸法と処理を別に確認してから払い出す。

証明書の種類と、材料の仕様を分ける

Outokumpuの発注項目表では、材料規格・鋼種・製品・供給状態と、検査証明書を別項目にしています。3.1はメーカーによる検査、3.2はnotified body又は第三者による検査として区別されています。3.1は第三者による製品認証ではありません。必要な文書の種類は、発注時に供給者と合意します。[2]

SP-42では、注文と、書類のメーカー名、対象製品、鋼種、寸法、供給状態、識別番号、必要な試験の記載を合わせます。ページの欠落や改訂理由が不明なら照会します。指定したEN材料に対してJIS材を提案された場合は、技術比較と変更の承認が必要です。名称が近いことや対応表だけで同等とは決められず、証明書の表題も代替材の採用承認にはなりません。

材料の証明と、完成部品の検査には境目がある

元の丸棒の証明書だけでは、完成したスペーサーの寸法、表面状態、後工程を経た性能までは確認できません。仮例の注文には完成寸法と加工後の処理も指定されているとします。完成寸法や処理の確認には、別途合意した検査・工程記録を用意し、J-62と納入品に対応付けます。

材料の識別が失われた場合、新しい試験が特定の性質の確認に役立つことはあっても、過去の対応関係そのものを復元するわけではありません。何を確かめるか、試料、方法、結果の判断を先に決めます。一部の試料が良好だったことを、元の溶鋼番号や混在ロットの全品の証明へ広げません。追加評価か交換かは、用途、必要な根拠、リスクを引き受けられる権限者で決めます。

追跡できる範囲も、見積の条件に入れる

元書類の参照、切断時の引当て、異なるロットの分離、加工記録との対応、納入時の提出形式まで、部品と一緒に見積を求めます。単価が安くても、記録の回収が別作業なら供給範囲が違います。「完全なトレーサビリティ」とだけ書くより、必要な対応を示した記録例を発注前に一つもらう方が、その違いが分かります。

受入れでは、納入数量と識別番号が必要書類や加工記録に対応していることを確かめ、その確認範囲を明記します。見た資料と未解決点も残します。注文時の条件が不足していたなら、過去の証拠を揃ったことにするのではなく、次の発注条件を改善します。以下の照会文は、仮例の食い違いを供給者が答えられる質問へ変えたものです。

次に製作者と話すために

書類と届いた部品がつながらないときは、図面、注文条件、手元の記録を添えて、供給者への確認事項をHAMへご相談ください。

そのまま調整して使える照会文

質問例を開く
PO-240明細10、SP-42・図面改訂Cの12個について、材料証明書はH7318、残材写真はH7381となっています。両番号の意味と対応を確認できるメーカー書類の全ページ、入荷・切断引当ての元記録、加工指示J-62および納入数量との対応をご提示ください。対象の材料規格・供給状態もご確認のうえ、注文で必要とした完成検査・工程記録は別途ご提示ください。表示の誤記や材料の変更があった場合は、元の証拠を残し、経緯と管理された訂正又は交換案をお知らせください。対応関係を確認してから受入れを判断します。
質問例を保存 ↓

出典と確認範囲

  1. BSI — BS EN 10204:2004, Metallic products. Types of inspection documents

    BSI公式目録。検査文書の種類という対象範囲を参照。規格の有料本文は未読であり、一律の法的義務や3.1必須という説明には使用していません。

  2. Outokumpu — Steel Grades, Properties and Global Standards, May 2013, Table 16, printed p16

    Outokumpu技術冊子、2013年5月、冊子16ページ。発注項目と検査区分の違いを参照。過去の技術資料であり、現在の供給能力や規格間の同等性の証明ではありません。規格の全条文は未読です。

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