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「穴径20 mm」で発注して、軸は入る?

穴と軸の許容差、仕上がりの状態、使い方をそろえて、加工品の見積を比べます。

保全時に抜き差しする位置決めピンと、その相手穴を発注するとします。見積にはどちらも「径20 mm」。ところが、穴の図面には公差があり、ピン側は呼び寸法だけです。届いたものが一度入ったとしても、次のロットでも同じように組めるかは分かりません。これは仮の調達例です。見積でそろえたいのは、20という数字に加えて、穴と軸それぞれの許容範囲と、組み合わせたときに必要な動きです。

目次

  1. 穴の指定だけでは、組合せが決まらない
  2. 最小と最大を、組み合わせてみる
  3. 寸法の範囲と、実際の使いやすさ
  4. 見積は、回答の範囲を比べる
  5. 相手部品の情報を添えて、見積を頼む

穴の指定だけでは、組合せが決まらない

「20 mm」は寸法の基準になる呼び寸法です。穴が許される最小・最大の寸法と、軸が許される最小・最大の寸法が分かると、組合せでどれだけすきまやしめしろが生じ得るかを考えられます。穴の加工精度だけを上げても、相手の軸の範囲が曖昧なら、欲しい組付け状態を指定したことにはなりません。

H7やg6などの記号を使う場合も、穴と軸の両方、呼び寸法、適用する規格をセットで読みます。メーカーの技術表にも寸法区分に関する注記があります。[1] 以前の図面で使った組合せを、そのまま別の径や用途へ移す前に、今回どの範囲を指定しているかを確かめたいところです。

最小と最大を、組み合わせてみる

ここでは計算を説明するため、穴を20.000〜20.020 mm、軸を19.990〜20.010 mmと仮定します。規格の公差記号に対応させた数値ではありません。最もきつい組合せは、最小の穴20.000から最大の軸20.010を引いた−0.010 mm。逆に、最大の穴20.020と最小の軸19.990なら、すきまは0.030 mmになります。

つまり、この仮の指定では、しめしろが生じる組合せも、すきまが生じる組合せも含まれます。試作品の一組が手で入ったという結果だけでは、許容範囲の端にある組合せまで同じとは言えません。保全で外したいピンなら、どの程度の着脱性が必要かを設計担当者へ戻し、その目的に合う両部品の指定を決める流れになります。

穴と軸、両方の範囲を見る
穴と軸、両方の範囲を見る0+20+10−10Δ / μm123
  1. 1穴を持つ部品と、その寸法範囲
  2. 2相手のピンと、その寸法範囲
  3. 3呼び寸法からのずれを比べる

ピンと穴の模式図と、仮の公差域です。右の数値は呼び寸法20 mmからの差をμmで示します。形状や隙間は強調しており、推奨公差や実物の縮尺ではありません。

寸法の範囲と、実際の使いやすさ

径の範囲がそろっても、長い穴の傾き、軸の曲がり、入口のばり、表面の状態などが組付けに影響する場合があります。位置決めに使うなら、相手穴の位置や基準面との関係も別の論点です。MISUMIの位置決めピンの事例も、径の組合せとねじによる固定、形状の関係を分けて扱っています。[2]

この例では、保全時に抜き差しする部分と、ベース側へ固定する部分を図面上で区別すると、仕入先にも目的が伝わります。処理前の値か、めっきなどを含む仕上がり後の値かもそろえます。使用時の温度、異なる材質の組合せ、潤滑や汚れの条件が効く用途なら、その条件を含めて設計側で評価します。公差記号一つで、これら全部が決まるわけではありません。

見積は、回答の範囲を比べる

見積に「精密加工」とあっても、何をどの状態で検査するかが書かれていなければ、今回のピンと穴の合否は読み取れません。まず同じ図面の版に対して、両部品の限界寸法、仕上がり段階、検査の範囲が回答されているかを比べます。表は、この仮例で返ってきそうな回答と、発注前に残る問いです。

一組を合わせて納める場合と、将来の交換品も任意に組み合わせる場合では、受入れで確かめたいことも変わります。組合せ検査をするなら、どの個体・ロットを対象に、何をもって合格とするかを取り決めます。「合わせて入りました」という回答を、量産品すべての互換性へ広げないことが大切です。

仮例:見積の回答から残る問い
回答項目返ってきた内容発注前に残る問い
径の指定返ってきた内容穴20 mm、ピン20 mm発注前に残る問い両部品それぞれの上下限は?
検査の段階返ってきた内容加工後に寸法検査発注前に残る問い表面処理を含む最終状態か?
組付け返ってきた内容サンプル一組は挿入できた発注前に残る問い別個体・次ロットの受入条件は?
検査の範囲返ってきた内容成績書を添付発注前に残る問い対象寸法、方法、個体・ロットの範囲は?

相手部品の情報を添えて、見積を頼む

問い合わせには、ピンと穴を持つ部品の図面番号・版、使用する箇所、抜き差ししたい理由、数量を添えます。相手部品を交換できない場合は、元の図面と、現在の実測値や摩耗の状態を分けて伝えます。摩耗した現物の径を、そのまま新しい呼び寸法にしてしまうと、元の設計意図を見失うためです。

設計側で決めた寸法と受入条件に対し、仕入先から加工・検査できる範囲と残る差を返してもらいます。試作の組付け結果が必要なら、量産の前に確認する項目と変更の承認者も決めておくと、見積の次へ進めます。日本企業への照会では、部品単体の図面に加え、相手との関係が分かる情報が役立ちます。

次の調達相談に向けて

ピンや相手穴を持つ加工部品の調達は、図面と、組付けで困っている点を添えてHAMへご相談ください。条件に合う日本企業を探すための情報から伺います。

見積依頼に添える質問例

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[部品名]のピンと相手部品を検討しています。図面は[番号・版]、数量は[数量]、用途は[位置決め/着脱など]です。抜き差ししたい部分と固定する部分を添付図に示しました。穴・軸それぞれについて、指定した最小/最大寸法への加工可否、仕上がり段階、表面状態、必要な検査と成績書の範囲をご回答ください。相手が既設部品の場合は、元図面と現状測定を別に添付します。対応できない指定や未確認事項を分けて示し、試作と量産の範囲、納期の前提を含めて見積をお願いします。変更案は設計側の確認後に確定します。
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出典と、この例での使い方

  1. MISUMI — Dimensional tolerances and fits (technical data)

    メーカーの参考公差表。寸法区分と組合せの読み方を参照し、現行規格全文の確認とは分けています。

  2. MISUMI — Commonly used combinations of fits

    位置決めピンの個別事例。固定方法と幾何学的な関係を分けて読むために参照しました。

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