2026.09.20

海外市場調査は、どこまで調べれば国を絞れるのか

統計を集めても候補国を決められないときは、公開情報、現地への確認、小さな営業検証を分けて考えます。

国を絞るまでの3段階
  1. 01

    公開情報

    売れる前提を壊す条件はないか

    比較する国を残す

  2. 02

    現地への確認

    誰が、どんな条件なら扱えるか

    話す相手を残す

  3. 03

    小さな営業検証

    価格と仕様を示した会話が続くか

    投資する市場を決める

たとえば産業用の制御部品を東南アジアで販売したくて、タイとインドネシアが候補に残っているとします。人口やGDP、業界規模を並べるだけでは、どちらから始めるべきかは決まりません。必要なのは「市場が大きい国」の資料ではなく、自社の商品を売れる条件がそろう国を見分ける材料です。

まず、売れない条件を公開情報で落とす

最初に確認するのは市場規模だけではありません。輸入統計の推移、想定用途の規制・認証、現地まで運んだ後の価格、競合品を扱う販売会社の有無を同じ表に置きます。ここで知りたいのは精密な売上予測ではなく、販売前提を崩す条件がないかです。

制御部品なら、候補国ごとに「対象設備で必要な規格」「現地電圧や通信方式への適合」「輸送費を含めた価格差」「保守を担える会社」を並べます。認証取得に時間がかかる、現地価格が競合の二倍になる、と分かれば、その国は次の調査へ進めない判断ができます。

公開情報で残った国は、相手の言葉で確かめる

統計からは、販売店が新しいメーカーを扱う条件や、買い手が仕入先を変える理由までは分かりません。そこで販売店、利用企業、業界関係者に、現在の調達先、よく求められる仕様、発注単位、切り替え時の障壁を聞きます。

「日本製なら需要があるか」という質問では、好意的な返事しか得られないことがあります。製品の型式、用途、想定価格、供給可能数を示し、「この条件なら誰が検討するか」「扱えないとすれば何が理由か」まで聞くと、次の営業に使える情報になります。

最後は、同じ条件で小さく営業して比べる

調査報告書だけで進出国を決める必要はありません。候補国ごとに、同じ製品資料と同じ確認項目を使って販売先候補へ連絡します。返事の数だけでなく、仕様の質問が出たか、数量と納期の会話へ進んだか、次に必要な資料が特定できたかを残します。

段階確認するもの次へ進む状態
公開情報輸入動向、規制・認証、価格、販売会社販売を妨げる条件が見当たらない
現地への確認用途、仕様、発注単位、商流具体的な販売先候補と不足情報が分かる
営業検証返信内容、仕様質問、数量・納期、次の約束商談を続ける相手と社内課題が残る

調査会社の見積は、納品物より判断範囲を見る

見積を比べるときは、対象国と業界だけでなく、使用する統計、聞き取り相手の属性、規制確認の深さ、候補企業への接触有無、調査後に判断できることを確認します。「市場レポート50ページ」と「販売先候補への聞き取りを含む10ページ」では、用途が異なります。

まず公開情報で候補国を落としたいのか、販売先候補の反応まで確かめたいのか。ここが決まれば、調査範囲と費用の過不足も見えやすくなります。

参考情報