MANUFACTURING / JAPAN SOURCING
基板試作の動作確認を、量産検査へ引き継ぐには
試作で動いた結果は、その基板と条件で得たものです。量産で繰り返し判定できるように、検査方法、基準、残す記録へ具体化してから依頼します。
動いた一台から、量産で残る問いを考える
制御基板の試作が起動し、開発者の机で状態メッセージを一度送れたとします。その基板を添え、実装会社へ「見本どおりに検査」と依頼する仮例です。このままでは、出力が異常なとき、ソフトの版が違うとき、検査用の接続が足りないときの扱いが決まりません。動く見本は役立ちますが、量産検査の仕様はまだそろっていません。
まず、量産で確かめたい機能と、見つけたい実装不良を挙げます。設計の妥当性を調べる評価、製造した基板の検査、完成した機械の受入では役割が違います。開発時は広い使用条件を調べ、製造工程では決めた条件で繰り返し判定することもあります。一台の成功で全部を済ませず、どの段階で何の根拠を残すかを決めます。
確かめたいことに、検査方法を対応させる
Keysightは、実装不良を調べるインサーキットテスト(ICT)と、機能試験の能力を分けて説明しています。[1] 問いが違えば方法も変わります。今回の基板では、必要な不良や機能を何で検出するか、どこへ電気的に接続するか、対象外に何が残るかを伺います。装置の名前だけで、その設計を網羅しているとは分かりません。
NIは機能試験の要件として、電源、部品の動作、通信に加え、検査時間や製造工程への適合を挙げています。[2] 今回の基板に置き換えて考えると、「通電済み」が表示灯の点灯だけを指す場合もあります。必要な出力や通信応答を与えた条件の下で測っていなければ、その結果では該当する機能を判定できません。
必要な検査ごとに、与える信号や動作状態、測る応答、合否の基準、残す記録を対応させます。数値と許容差は技術担当が定めます。試作一台の読み値から限界を作らず、未確定の基準は見積でも未確定と示します。
- 1基板:版、実装部品、ソフトで対象を特定する
- 2治具・装置:接点と接続機器で構成を特定する
- 3記録:条件、測定値、判定を対象とともに残す
架空の制御基板と検査装置の模式図です。線は検査接点と記録の対応を示し、配線方法を指示していません。空欄の記録は合格を表しません。
試作で見たことと、製造へ渡す条件を分ける
次の表は、仮例の制御基板でまだ決まっていないことを見つけるためのものです。完成した検査手順ではありません。電気検査に加え、外観など別の検査も必要か、基板と不具合の影響から方法を選びます。
| 問い | 試作で得たこと | 量産へ渡すために決めること |
|---|---|---|
| 電源の挙動 | 試作で得たこと机上で試料が起動した | 量産へ渡すために決めること電源と負荷の条件、測定値、基準、順序 |
| 出力と通信 | 試作で得たこと状態メッセージを一度見た | 量産へ渡すために決めること必要な機能、与える信号、測る応答、対象外 |
| 基板とソフト | 試作で得たこと開発者が試料を把握している | 量産へ渡すために決めること基板・部品表の版、ソフトの識別、書込み記録 |
| 検査の接点 | 試作で得たこと仮のリード線を使った | 量産へ渡すために決めること接点、治具の接触・支持、装置の構成 |
| 不合格の扱い | 試作で得たこと実演では動作した | 量産へ渡すために決めること不合格記録、隔離、修理と再検査の条件 |
| 再現性と採用 | 試作で得たこと製造工程での試行は未合意 | 量産へ渡すために決めること試行する基板、照合する根拠、採用の担当 |
治具も、測定する条件の一部になる
判定したい状態を変えずに、基板をどう支え、接触させ、機器へつなぐかを考えます。確定した設計資料から接点やコネクタの端子を特定し、必要な電源、負荷、測定器、ソフトをそろえます。試作の写真だけで決めず、治具を作るための技術情報として渡します。
治具の図面や構成、検査プログラムの版、基板のソフト、採用した判定基準を一緒に管理します。接点の摩耗、保守、治具やソフトの変更があったとき、結果を採用する前に何を確かめるかも決めます。基準となる基板を使うなら、識別と、その状態を認める根拠が必要です。一度動いただけの基板から、すべての合否基準は作れません。
支持と接近の考え方は、既存の検査治具の記事も参照できます。基板ではさらに、与える電気信号、ソフト、結果の追跡まで扱います。毎回同じように支えられることと、回路の機能を確かめることは別の条件です。
検査を作る費用と、続ける範囲まで見積に入れる
実装会社には、検査の開発、治具と機器、書込み、製品ごとの検査、記録、後の保守や移管を分けて伺います。ファイル、設備、結果を誰が持ち、何を引き渡すかも取引条件に含めます。実装費にすべてが含まれる前提にしません。
予定する量産へ進む前に、合意した試行を行い、採用した方法と結果を照合します。差や、別の段階へ残す検査も採用範囲に記録します。製品に合意した粒度で、個体やロット、資料の版、結果、再検査の履歴を残します。再検査で合格しても、最初の不合格を消してしまわないようにします。
基板の版、必要な機能、数量、仕向地、今ある検査資料をHAMへお知らせください。日本の供給者へ未確定の問いを伝え、見積に含む作業と根拠を確認するお手伝いができます。検査方法、基準、量産へ進む判断は、製品の技術担当と決めます。
供給者へ渡す質問例
確認文面を開く
基板・部品表の版と実装の違い: ソフトの識別と書込みの要件: 必要な機能、使用場所、仕向地: 試作の試料、構成、条件、結果: 量産検査で与える状態、測る応答、方法、対象外: 基準と許容差(確定済み・未確定の別): 接点、治具の支持、電源、負荷、測定器: 装置の構成、検査プログラムの版、残す記録: 数量、検査時間の要望、製造工程での試行範囲: 個体・ロット識別、不合格、修理、再検査の扱い: 開発、治具、検査、保守を分けた見積範囲: 所有と移管する資料、採用担当、残る判断: 検査範囲をご提案いただき、前提、不足情報、含まない検査を明記してください。
出典
- Keysight — In-circuit and functional test for manufacturing
ICT、バウンダリスキャン、機能試験のHTML説明を参照。装置の能力を特定基板の網羅性保証にせず、カバレッジ率や試験限界は採用していません。
- NI — Electrical and DC functional test station
電源、部品の動作、通信、検査時間と製造工程への適合に関する要件のHTML本文を参照。製品選定や性能保証、PDF通読は行っていません。